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ドイツ、ベルリンでのドタバタ日記。

ベルリン生活:ドイツのGWの最終日、クロイツベルガーが最も恐れる日、SO36地区がクラブ化するErster Mai in Kreuzberg

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」…ということで、今日はドイツのゴールデンウィークの一番最後のデッカいイベント、「Erstwe Mai(エルスターマイ)」について書きたいと思います。

おしゃれなベルリンと、ラディカルなベルリンです。

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⬛︎最もクロイツベルガーが熱くなる日、それが5月1日erster Mai

5月1日が近づいてくると、元々のSO36(クロイツベルクの昔の郵便番号、現在の10997と10999の辺り)のクロイツベルガー達がそわそわしだします。

 

「ああ、嫌だ。もうすぐ5月1日だよ」」

 

とか

 

「ああ、郊外にでも行こうかしら」

 

とか言いだします。

何故ならば、今も昔もこの日はクロイツベルグが最も危険で最も騒がしくなる日だからです。

この日はU1のGörlitzer Bahnhofからシュプレー川までの地域が警察によって朝から道路が封鎖されます。

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Wikipedia SO36 より

 

その閉鎖されている内側、80年代から2000年以降、どんなになるかと言うと、こんな感じ。

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wikipedia erster mai in kreuzbergより

この写真今から20年前の2001年の写真。アナーキストやパンクスがこの日は大暴れする伝統となっていました。これ、2001年ですが、結構最近まで5月1日はこんな感じだったそうです。

 

日本でもその色が褪せてはいますが、特にヨーロッパ諸国のみなさんにとってはこの日はとっても大切な労働者の日、Mayday だからでございます。

 

⬛︎警察によって街が封鎖!

もっかい書きますが、警察によって、このSO36の区域が閉鎖されます。

町中に覆面パトカーも含め、警察の車両があっちこちに。

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 U1のSchlesisches Torの前からBethanienのあたりまでパトカーが行ったり来たり。

写真に載っているのは全て、警察車両です。

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もうここ(Görlitzer Park)に至っては、100m毎に警察の車両が止まっている状態ですね。

入り口前には警察が数名で構えています。

手荷物の検査などもランダムに行われています。もちろん、道路は閉鎖。

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私も仕事の用事があったのですが、私の目の前で道路の片方の300mくらいを閉鎖されたので(前のドイツ人は通されたけど、多分、アジア人だったからここでブチッと切られた、というのはあるある)

「あの、私は遊びじゃなくて、仕事に行きたくて、道もこんな状態で遅れそうなので、大変急いでいるので通してくれませんか?」

 

 と丁寧に聞いたのですが、「ダメ」…と言われたので思わず

 

「こっちは税金払うために休みなのに仕事に行くんだい!あ、ちなみにあんたの制服も給料も、私の奢りだってこと忘れないでよね!」

 

と思わず文句をつけたら超びっくりされてしまいました(多分侮辱罪になるから、真似しないでください)。

 

⬛︎最もクロイツベルガーが嫌になる日が「5月1日erster Mai」になった

その5月1日でしたが、元々地元に住むクロイツベルガーは「最も忌み嫌う日」になってしまいました。

 

 

何故なら、最近の5月1日、クロイツベルガーが最も頭を悩ませているのがコレ。

なんと、

クロイツベルクの旧SO36地区ががクラブ化

してしまうんです。

以前閉鎖されていた地区は、車が燃え、火炎瓶(モリー)が飛び交うことはなくなりましたが、その代わりこんな風になりました。

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ベルリンの旧SO36地域がGörlitzer Park を中心にパーティー会場に様変わり。

ちなみに多くの日本のサイトで「近づいてはいけません」と書いてあるGörlitzer Park(実際はそんな場所でもないし、危なくもない、ただし携帯カメラで写真を撮ろうとしたら容赦ない)ですが、このパーティーはGörlitzer Parkを中心にして開催されます。

(ここはSchlesischer Bushの反対側、Alena Berlinのあたり)

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上は本気の野外フェスティバル仕様のスピーカーから下は家庭用のかわいいスピーカーまで、ものっすごい音量でテクノが町中に響き渡ります。街がその日1日はクラブ化。

そして、ベルリン中と近隣から若者がやってきて、ドンチャン騒ぎとなるのです。

 

Görlitzer Parkはでっかい公園なのですが、元々大きな駅(ここがGörlitzer Bahnhofだった)があった場所なんですけれど、壁崩壊後も結構割と最近まで「空き地」だった場所で車の墓場だったり粗大ゴミだらけだったのを段階的に公園に整備した、規模もそこそこ大きいんです。

他のFriedrichshainやTreptower ParkなどのVolksparkのような素敵な公園とは違い「売店が一切ない(一応、小さいカフェが真ん中にあるけれど近隣の人は誰も行かない)」のも特徴。他の公園には素敵なビアガーデンとかがあるのですが、どちらかというと自分たちでビールを持ち寄って「勝手にビアガーデン化」みたいな感じです。

ちなみに、Görlitzer Parkの上半分の近隣にはSpätiがあるのですが、下半分側近くにはあんまりお店がありません(ここら辺は元東西ドイツの境界線近くだった)。

 

それゆえ、この日は公園の下半分は超面白い無法地帯になって、いきなり勝手に駅弁でも売るみたいに運営する人、他に画板にベルリナールフト(シュナップス、アルコール度数の高いお酒)のショットグラスを乗せて練り歩く売り子、続出。

(ただし警察が来たら撤収しなくてはいけません)

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ちなみにここはモヒートが飲める店ですが、モヒート5€とかそこそこお金とります。


ビールが良い方は、即席道端Spätiのご利用をどうぞ。

道端の至る所でビールを売っています。この人混みではSpätiにもアクセス出来ないし、実際Spätiで買うよりかは安く購入できます。

ビールを売っているのはロマの子、難民の若者、学生、失業者などが多いので、もし見かけたらお金を落としてあげます。

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ベルリンは夜10時までは一応外で騒いでもいいことになっているのですが、この後も道端や公園で若者がアフターパーティーで盛り上がるので、とりあえず朝まで偉ことになっています。

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Späti(深夜営業のキヨスク)前は朝3時にも関わらず、どえらい騒ぎに。

 

⬛︎地元民がこのドンチャン騒ぎを嫌う理由

地元民が最近の5月1日が憂鬱な理由を聞いてみました。

  • すっごい爆音とベース音と楽器の音(音で地面と壁が揺れる)

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  • 素行がとにかく悪い
    近隣の店のトイレを借りに来るがトイレにゴミを詰まらせて行ったり、汚して行ったり、公園の至る所で所構わずトイレをしたり、プラスティックゴミを放置したり、タバコのポイ捨てを川にしたり、生えている植物を踏んづけたりへし折ったり…友達曰く「しかもこの多くがベジタリアンで自然志向」の若者だそうです。
    みんな、お酒やジョイントだけではなく、ドラッグも結構やっているので、どうでもよくなっちゃうんですよね…

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  • ゴミ(そしてゴミの多くがクロイツベルク以外から来た人の置き土産である)

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    基本、ゴミ箱があるのにここに持ってこないでその場に投棄なので、ゴミ箱の周りはキレイ。実際はこの下の写真の状態が

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    • f:id:photoautomat:20190502203729j:plain
      翌日。これでも片付いた方。ちなみにこのゴミを10乗した状態が町中に延々と広がっていることをご想像ください。

ここに住んでいる人たちって、基本、パーティー大好きだったりするんですけれど、地元愛もものすごーく強く、リスペクトされないことをとことん嫌うんですよね。だからベルリンの中心部の割には街の美化に努めたりしているわけですが、結局、こういう他からきた人たちによって街を汚されたりするので、それがイヤってことです。

なんで、これをやられちゃうと「観光客とヒップスター、トルコとレフュージ以外の移民は排除」っていう閉ざしてしまう気持ちはものすごく理解出来ます。

 

⬛︎本来のクロイツベルク:パンクスと労働者とヒッピーとトルコ移民の街

ところで、クロイツベルクとは一体どんな街なんでしょうか?って知らない方は疑問になると思うんですが、それは

パンクスと労働者とヒッピーとトルコ移民の街

…でした。今もベルリンで一番パンクな街には変わりがありませんけど。

そして元々労働者の街だったクロイツベルク・ノイケルン・ヴェディングですが、この3地区は旧西ベルリンの労働力を最も支えたトルコ人移民が唯一住むことを許可された地域でもありました。

そして、旧西ベルリンは旧西ドイツから兵役を逃れに若者がやって来る都市でもあったのですが、そんなわけで自由と平和を愛するヒッピーたちも追随して集まって来たんです(まあ、そうは言っても旧東西ドイツ分裂時代はボタン一つで核爆弾が飛ばせるという臨戦状態でしたが)。

鉄のカーテンによって冷酷に区切られた土地での生活がベースだったベルリンは、閉所恐怖症と楽観主義が併存するリアルディストピアだった”*1

 そのベルリンの中のカオス・クロイツベルクの中でも最たる場所がSO36の地域だったわけです。

 

壁崩壊前は薄汚れた労働者とパンクスだらけだったのに、90年代以降はその無法地帯ぶりからアーティストやミュージシャンが多く移り住んでスクワット(不法占拠)したり、それでも人々はクロイツベルグを愛してやって来たので、なんで本来のここの地域の人たちは

 

ものすごーく自由人、そしてお互いをリスペクト

 

するということで共存関係を築き上げて来たコミュニティーだったわけです。

 

ja.wikipedia.org

60年代の西ベルリンの「はみ出し者の楽園」的なところのデストピア的なところじゃなくて、ユートピア的な解釈を快楽的にされちゃったのが現在のクロイツベルクの状況でしょうか。 

 

クロイツベルクは現在こんな街になっちゃいました。

 

超ヒップでアーティストとミュージシャンと外国人の集う「一番住みたい街」

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元々左寄りの「アンチ・キャピタリズム」クロイツベルクがヒップスターたちが移り住むことでジェントリフィケーション化し、そして観光地化してしまい、しかもパンクスによる街の破壊ではなく、クロイツベルクの元々の地元民以外が街を汚していく、そしてヒップスターと後から入ってきた人たちが家賃を釣り上げ、彼らの入植によって自分のアパートの家賃の高騰してで住んでいた家を追い出されてる、という現状はなんとも皮肉な話です。結構、この問題はクロイツベルクのみならず、ベルリン全体で問題になっています。

だからこの5月1日の「勝手に他から人がやって来て騒いで行った挙句、街にゴミの山を残していく」という状況に対して受け入れがたいものなのでしょう。

その反応はまさしく

飼い猫が客に対して逆毛を立てて威嚇する

感じです。

 

 

⬛︎クロイツベルガー(っていうかベルリナー)が行く場所:デモその❶

そんなクロイツベルクの住人達が5月1日に最近集まる場所があります。

それがこれ。

My GRUNI❤︎(http://mygruni.de/

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やっぱり、5月1日はデモに行く、というのは伝統なようです。

この日のデモと言ったら基本、組合&左翼系というのが王道ですが、最近のベルリナーの共通の問題はやはりジェントリフィケーションが大きいです。

クロイツベルク…というよりベルリナー全体が最近、こちらに行くことが多いでしょうか。

「ベルリンの諸問題は対岸の火事」と考えている、中心部よりめちゃ遠い、ベルリンの田園調布「Grunewald」にわざわざ行ってデモをしてやる、というイベント。

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クロイツベルク出張サービスという感じです。

これを見ていると、やっぱりクロイツベルクの人はドンチャン騒ぎとデモが大好き

だということと、よそ者が自分たちの地区を汚している間、彼らもわざわざGrunewaldまで出張し、大騒ぎしてやる、という(ただし、これは単なるクロイツベルクで行われているパーティーとは違って、パーティーデモで、一応「わざわざ出張してでも行う意義のあること」ではあるのですが。)

 

⬛︎クロイツベルガー(っていうかベルリナー)が行く場所:デモその❷

友人に「どのデモに行くのか?」と問いましたら

「俺はGrunewaldに行けるか分かんないな…

だって俺は労働組合のメンバーだからな」

…と正統派のメーデーデモに参加するとのことでございました。

 

⬛︎クロイツベルガー(っていうかベルリナー)が行く場所:デモその❸

そしてこちらも別のグループの友達が行くデモ。

これがベルリンの伝統とも言えるデモではないでしょうか?

Revoultionären 1. Mai-Demo=左翼デモ

これが80年代に車とか燃やしていたデモです。

ちなみに旧SO36地域を封鎖していた警察官の9割方がこのグループを警戒して集まっていたわけです。

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rbbニュースよりスクリーンショット

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rbbニュースよりスクリーンショット


元々この左翼デモは伝統としてOranienstrasseで行われていたのですが、ここ数年の「クロイツベルクSO36クラブ化」によって、今年からフリードリッヒスハイン側で行われたそうです。

だいたい毎年3〜4000人が集まる、と言われていますが、実際はそれ以上でしょうね。

この人達に出会ったら、カメラを向けてはいけません。匿名性が重要とされています。

「ベルリナーは警察が嫌い」

「ファシスムとキャピタリズムに反対」

シュプレヒコールを叫んでやってきます。

コレに関しては「対岸の火事」を決め込む日本人が多いのですが、結局彼らは私たちのための権利の主張もしてくれる、弱者の味方でもあり、人種差別に関しても徹底的に戦ってくれる正義の味方、でもあるので他の日本人が書いているほど「怖い」わけはありませんので、勘違いしないように。

ただもう一度「カメラは向けない」ように。そして参加希望の場合は全身黒い服装でどうぞ。

 

⬛︎後記

5月1日が終わり、人々も街に戻って来て日常が戻って来ました。

あんなにうるさい1日を耐え抜いたクロイツベルガーがこんなに街を破壊されて黙っているわけはないので、ベルリン清掃局も威信をかけて、ものすごい速さで公園や近隣部分を清掃します。

その速さ、あの汚い公園や道が一気に綺麗になるところでしょうかね。

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多くの日本人がわりと真面目だし、ある程度節度を持ってベルリンで生活しているわけですが、こういう街の現状とか見ていると、すごく考えさせられてしまいます。

今、私が好きなベルリンを作って来てくれたのはこの人たちなのですから、私が好きなベルリンが消えてしまわないように、この人たちのことも守っていきたいな、と思いました。

 

 当時のベルリン、クロイツベルクのことがよくわかる、笑いあり、涙あり、のパンク映画(超ー面白い)

レボリューション6 (字幕版)
 

 

ベルリン (世界のシティ・ガイド  CITIX60シリーズ)

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