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ドイツ、ベルリンのドタバタ、サバイバル日記。

ベルリン生活:ベルリンで読書の秋 その4ドイツの本とドイツにまつわる本

今週のお題「読書の秋」

ということで、このお題について最後にドイツとドイツにまつわる本について、ホンのサワリですが書きたいなと思います。

 

 

⬛︎グリム童話の歴史、作られた舞台裏、一押しはなに?

ドイツと言えば、一番最初に子供の時に手にするドイツに関するはグリム兄弟の「グリム童話」ではないでしょうか。グリム兄弟がなんでこんな童話を作ったのか、というと二人は言語学者でその研究のために地方で伝承される物語の聞き取りを始めたのがきっかけでこの「グリム童話」が完成したことは有名です。

ちなみにドイツ語で童話、おとぎ話のことを「メルヒェン(メルヘン)」というのでグリム童話は「Grimms Märchen」です。日本語になっているドイツ語が結構ありますよね。

グリム童話といえば、グリム童話自体に焦点を当てて話されることが多いですが、その舞台裏も結構面白いです。

グリム童話」の童話集が作られたのはとても昔に感じますが、1800年代初頭で、フランス革命が始まった1789年から20年も経ってないんですよね。もちろん、グリム童話が出版された背景にはフランス革命への憧れ、そしてその後に起こるフランス人(実はフランスといってもコルシカ出身なんですけど)ナポレオン・ボナパルトによるドイツ占領によるドイツ国内のナショナリズムの高揚(なんで俺たちドイツ人はフランス人に支配されてんだよ〜)もあり、もともとドイツで始まっていた芸術方面に花を開いていた「(ドイツ)ロマン主義運動」の目は一気にドイツの歴史、ドイツの普通の人々、土着の人々へ向けられていくのです…グリム兄弟はもともと法律を勉強していたにもかかわらず、「ドイツ言語」「ドイツの歴史」に目を向けていきます。

フランス革命がいろいろな国に影響を与え、フランス革命から今の世の中の「国」「ナショナリズム」「宗教」「アイデンティティ」っつう壮大なテーマについての追求がずーっと続いていて、政治や宗教を支配して未だに世界中をグジャグジャにしているっていうのは本当に面白いですね。

この辺の話は「21世紀の資本」のトマ・ピケティも本の中で語っているし、米原万里さんも話されていました。

 

21世紀の資本

21世紀の資本

 

 

 

 

グリム童話が作られた背景はフランス革命ロマン主義に後押しされ「ドイツの普通の人たちの生活や歴史」に目が向けられていったからなんですが、グリム兄弟はそんな中、「民間伝承」すなわち「言い伝え」の聞き取りを始めます。グリム兄弟はドイツ中を歩き、「生粋の」「普通の」「素朴な」ドイツ人の口から語られる物語を聞き集めます。ただ、実際聞き取りを行われたのは「素朴な」「ドイツ人」ではなく、中流・上級階級出身の人々で教養のある人たちでした。グリム童話最大の貢献者と言われる「フィーマンおばさん」ことドローテア・フィーマンも実はただの平民ではなく、実際はフランス人でしかもかなり文学に造詣が深い教養の高かった人だったそうです。

提供者の多くは上流階級の夫人や令嬢、または教養深い人だったということですが、それでも彼らの乳母や雇われている召使などは普通のドイツ人だったはずで彼らから子供の時に聞いた話ということですよね。こういう人たちがサロンなどで焚き火の音がパチパチなる中、昔聞いた話をグリム兄弟にしたのかな、と想像できます。

グリム童話で有名な話は「白雪姫」や「ヘンゼルとグレーテル」「赤ずきん」「いばら姫」「シンデレラ」「かえるの王様」ですよね。

グリム童話は女の子なら憧れる王子様とお姫様の話がたくさんありますが、その終わりは実は残酷なものも多いというのは有名な話です。

あまりに残酷すぎて、ワイマール共和国時代一時期削除されていたものもあるそうですが、民族主義的な思想がナチス政権の掲げる人種主義の思想と残虐性の正当化などが一致して、また物語の中に復活こともありました。

「日本昔話」や「妖怪伝説」もそうですが、全ては「めでたしめでたし」ではなく、「悪いことをすると最後はしっぺ返しがくる」そして「不条理」など、グリム童話の残虐性も同じく教訓だということですよね。

 

グリム童話集 5冊セット (岩波文庫)

グリム童話集 5冊セット (岩波文庫)

 
グリムの末裔

グリムの末裔

 
昔話の深層 ユング心理学とグリム童話 (講談社+α文庫)

昔話の深層 ユング心理学とグリム童話 (講談社+α文庫)

 

 

⬛︎ハーメルンの笛吹き男、実在の話?

ドイツに着いて2週間目くらいの時、ドイツ銀行から訳のわからない手紙が来たことを覚えています。ドイツに来たばっかりですぐに聞ける人がいなくて1枚の手紙を3時間かけて訳したことがありました。全部訳した時に憤慨しました。

キリスト教税はあなたの銀行から引き落としが可能です」

このやろー!バカにするなー!

もうすぐ必要のないキリスト教税を少ない手持ちのお金から引き落としさせてしまうところでした。

ところでこのキリスト教税というのは言葉の通り、「神を信じる」教会に属している人が支払わなければいけない税金なんですけれど、事前にドイツにキリスト教税の支払いがあるという予備知識があった訳ではないのですが、「あ、あれのことね」とピンとくる件がありました。

 この本。

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)

 

 もともと、ハーメルンの笛吹き男の話には興味があったのですが、私の大好きな漫画、マスターキートンの中でもハーメルンの笛吹き男について取り扱っている話があり、大学時代に学校の生協でこの本を見かけて、専攻が英文学でドイツには全然関係がなかったにもかかわらず、すぐ手にとってレジに向かってしまいました。

この本阿部謹也さんが実際に起こったハーメルンの笛吹き男事件を歴史学者の視点から次々と解明していく、というたいへん面白い本でした。

ハーメルンの笛吹き男》伝説はどうして生まれたのか。13世紀ドイツの小さな町で起こったひとつの事件の謎を、当時のハーメルンの人々の生活を手がかりに解明、これまで歴史学が触れてこなかったヨーロッパ中世社会の差別の問題を明らかにし、ヨーロッパ中世の人々の心的構造の核にあるものに迫る。新しい社会史を確立するきっかけとなった記念碑的作品。

という内容です。「差別の誕生」というテーマは私はまさに同じテーマを研究していたので、偶然とはいえ、その後の勉強でこの本をきっかけにいろいろな手がかりを得たので本当に面白い出会いをしたのでした。

この本の中で中世の「キリスト教税」が出てくるのですが、すでにこのことをこの本で読んでいたので「ひょっとしたら、例のキリスト教税は現在も続いているってことなのね」と手紙を受け取った時に「ビビビッ」となったわけです。

ハーメルンの笛吹き男については本当にいろいろな研究も本もあるのですが、先ほどにも書いた「マスターキートン」の中で「ドイツ」で「差別された人たち」ロマ(ジプシー)のお話で出てきています。笛吹き男が実はジプシーだったのではないか、という話です。もちろん、ロマというテーマに子供の時から興味があったので漫画を読んだ時は「キターッ」という感じでした。

なんだか、私はいろんな点と点が結ばれてドイツにつながっているんだな、って考えさせられる件でもあります。

漫画ですけど、読書としておすすめなのが、マスターキートンです。

 漫画、宝物。ヨーロッパの歴史、文化などについてたくさん触れられています。ドイツが舞台になった話もいっぱいあります。

 アニメもあります。

 

⬛︎読みたい!ドイツの本!

 ドイツといえば、この人、ヘルマン・ヘッセではないでしょうか?中学生の時の国語の教科書にヘルマン・ヘッセの「車輪の下」が載っていて、初めてヘッセについて知りました。日本で小説の他にこの「庭仕事の楽しみ」も結構話題になって売れたんですよね。

文庫 庭仕事の愉しみ (草思社文庫)

文庫 庭仕事の愉しみ (草思社文庫)

 

 期待しないで手に取ったら、あまりに悲しすぎて、そして最後まで読みきり、なんとも言えない気分になてしまった、グッとくる本です。東西ドイツの歴史と複雑な人間模様、男女の愛と友情の話。絶対読んでほしい本。

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

 

 ベルリンのソンネンアレーはすごい長いです。

このゾンネンアレー、西ベルリンが東ドイツに塀で囲まれてしまう際、道の途中でゾンネンアレーが東ドイツと西ドイツに分断されてしまうんですねー(淀川さん風)。「ああ、壁があと少しこちら側だったら俺は西側で青春を送れるのに!」というティーンネージャーの面白おかしい東ドイツの青春グラフィティです。

なにも旧東ドイツが「怖くて暗い」だけじゃないんですよね。

太陽通り―ゾンネンアレー

太陽通り―ゾンネンアレー

 

 OKAY Deutschland:クロイツベルグがナチ時代にタイムトラベルしちゃって?という話でこれは私、近々読みたいのですが、ドイツ語しかないんですよね。日本語出ればいいのに

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