ベルリンPhotoautomatクロニクル

ドイツ、ベルリンのドタバタ、サバイバル日記。

ベルリン生活:11月9日はドイツの「運命の日」「水晶の夜”Kristallnacht”」、ベルリン各地で反人種差別のイベント開催

昨日の金曜日は11月9日。

この日はドイツで「運命の日」と呼ばれる特別な日で、11月9日は何かとドイツで歴史的な出来事が起こる、なんとも不思議な日。

 ドイツ語学校に行くと、この週は結構この11月9日「運命の日」についてレクチャーがあったりします。

 

 

 

 

⬛︎これまでドイツで11月9日に起きた歴史上の出来事

11月9日にはこんなことがありました。

特に印象深いのは反ユダヤ主義暴動の起こった「水晶の夜」とギュンター・シャボフスキーの記者会見上の「歴史上最も素晴らしい勘違い」ではないでしょうか。

⬛︎水晶の夜、”Kristallnacht”、反ユダヤ運動の起こった日

1938年の11月9日は反ユダヤ運動が起こりました。

1933年にヒトラーがドイツ首相が就任し、反ユダヤ主義を掲げドイツ系ユダヤ人を迫害していました。ただし、ドイツ在住のポーランドユダヤ人に対する迫害はそれに比べるとまだまだ緩やかなものでした。

1938年にそこへ同じく反ユダヤ主義ポーランド政府がドイツ在住のユダヤ人のパスポートを無効としてしまいます。ポーランドユダヤ人はパスポートの期限が残っているにもかかわらず、母国ポーランドに入国することを拒否されてしまうのです。ドイツも躍起になってポーランドユダヤ人を国に追い返そうとしますが、入国を拒否されたユダヤ人たちは難民状態となり、無人地帯の国境に取り残されることを余儀なくされます。

家族の知らせでその現状を知ったパリ在住のポーランドユダヤ人の青年ヘルシェル・グリュンシュパンは1938年11月7日、在フランスドイツ大使館の職員を暗殺してしまいます。

これをきっかけに11月9日の夜、ドイツの各地で反ユダヤ主義グループによる暴動が起こり、多くのユダヤ人の店やシナゴークなどが破壊され、そして多くのユダヤ人が犠牲に遭いました。表向きは反ユダヤ主義者による暴動でしたが、実はナチス主導によるものでした。

街の通りの上には多くの割れたガラスが飛び散って粉々に砕け、それが月の明かりで輝き、水晶のように光っていたことから「水晶の夜」と名付けられたのです。この日を境にナチスによるユダヤ人迫害は決定的となり、激化していくのです。

 

⬛︎2018年、ケムニッツ事件でのドイツ人ネオナチの暴動

今年、ドイツでまた大変な事件が起こりました。

シリアとイラクからの難民の二人が南米系ドイツ人をナイフで殺害する事件が起こりました。

場所はケムニッツという、旧東ドイツ領で以前は「カールマルクスシュタッド」と呼ばれていたところです。ケムニッツザクセン州にあり、現在何かと物議を醸し出しているドイツ極右翼党であるAFD(ドイツのための選択肢)が現在州議会第二党に位置し、めちゃめちゃ支持されている!

旧東ドイツ領は外国人の比率が旧西側よりも低いのですが、旧西側よりもやっぱり旧東側の方が失業率も高く、それまで運命のいたずらで東ドイツ側で生活をしなければいけなかった、東西ドイツ統一後の劣等感などのあらゆる不満の形がこの事件をきっかけに一気に爆発し、暴動に発展しました。

AFD支持者、右翼団体、ネオナチ(昔みたいにネオナチいなくなったなーと思ったのに、難民問題後、ネオナチがまた一気にどこからか浮き出してきた)は、やはり失業率や、そしてメルケル首相によるシリアを含む難民の積極的な受け入れに対しての不満などを持っています。

この感じ、ナチス政権時のヒトラー反ユダヤ主義が元々高い失業率や社会不満を持っていたドイツ市民の心理を煽り立て、ユダヤヘイトに向かっていった感じと時代を超えてなんとなく似ているように感じてしまいます。

 

⬛︎水晶の夜、ベルリン各地でアンチヘイトのデモが開催

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とうわけで反ユダヤ主義による暴動「水晶の夜」は11月9日はドイツ市民にとって忘れてはならない大切な日でもあり、同時に現在ドイツ社会が抱えているありとあらゆるヘイトに対して抗議や問題を投げかける日でもあります。

それは現在ドイツの抱える人種差別:LGBT... 、押し寄せる世界中の難民、移民など社会的マイノリティーについても起こってはいけないことだと一緒に考える日でもあり、ベルリンではアンチファシストの大きなデモが集会が開催されました。

⬛︎教会での「テクノ集会」

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私の住んでいる地域にはたくさん進歩的な教会があって、ギャラリーになっていたり、バーあり、カフェありと結構表情豊か。

なかでも家の地域には音楽に特化して取り組んでいる「Thomas Kirche」というちょっと有名な教会があります。水晶の夜、Thomas Kircheでは斬新な催しがあり、「テクノ集会」が催されました。

 

video.tagesspiegel.de

いつも楽しいイベントがあるこの教会は結構人があるまるのですが、水晶の夜はドアマンが入り口に立ってクラブさながらの大盛況。教会の中も朝の山手線のような状態。集まっている人も普通に教会に普段通っている人、子供、ヒップスター、学生、LGBT...の人たちのマルチな感じ。

ちょうど到着した時には「反ユダヤだけではなく、さまざまなヘイトに対して戦っていこう」というスピーチの最中でした。

一応、椅子が用意されていて、教会の半分以上は椅子で埋まっていたのですが、その周りの普段通路になっている場所にも人がもういっぱい。そして、DJのRobert Hoodが登場しプレイを始めると、立っている人はなんとなく体を揺らし始めたのですが、牧師さんが「みんな立って立って」とジェスチャーするとワーーーーーッと歓声が沸いて、みんな立ち上がって踊り出してもうクラブ状態で踊って踊ってアンチヘイトを支持。ものすごい強いエネルギーが沸いて、みんなが同じ良い方向に向かっている一体感と高揚。こうやって身近な方法で何かをみんなでできるのはほんとうにベルリンてすごいな〜と思います。

 

⬛︎他人事じゃない、人種差別のこと

 私もドイツ人じゃないし、ましてや日本人なので、時々一方的に誤解されたり、人種差別的な態度をされたり、嫌な思いはないわけではありません。特にアジア系は数が少ないから目立つ。シリアなどの難民のみなさんのような命からがら逃げて来て、ドイツに来たくて来たわけじゃないけどなんとか生活していかなくてはならないので簡単にはそういうことは言えませんが、ヘイトなどの差別のこと、やっぱり同じくドイツに住む外国人として気持ちは少しわかります。

ドイツでは反ユダヤ主義、そして反ジプシー、反同性愛などナチス時代にさまざまなヘイトがありましたが、アメリカでも同じ時代にアメリカに住む日本人が強制収容されたりした歴史があります。

今、世界がまた、一瞬保留になっていたナショナリズムの波が大きくなっています。また、宗教を取り巻く世界の状況もいろいろ変化しています。その昔、そういう風な歴史があったように、またそんなことが起こっても決しておかしくない。でもそういう歴史を繰り返したり、新たに行ったりしないように、平和に向かって私たちが独りよがりの価値観ではなくて少しでも善処できるようにお互い共存しながら生きていけたらいいなー、と考えた11月9日でした。